- 2023.11.20
パーツ担当紹介(名古屋大学 FEM)
私たち名古屋大学フォーミュラチームFEMは早期のEV転換、4輪インホイールモーター、カーボンモノコックの導入など、日本大会において唯一の存在感を発揮して闘ってきました。今回はそんな私たち名古屋大学フォーミュラチームFEMのチーム内編成、パーツ担当について紹介します。
FEMでは、車体や足回りといった車部分を担当するシャシー部門と、バッテリーや配線などの電気関係を担当するパワートレイン部門の大きく2つに分かれており、またそれぞれの部門の中にさらに細かいパーツが存在します。
この記事の目次
–シャシー部門–
・サスペンション班
旋回性能や加速性能の向上などを目的に車両運動について考え、足回りの設計・製作を考えるのがサスペンション班です。設計については複数のシミュレーションソフトを活用し、ホイールベースやトレッド、各種部品の配置などを考えていきます。私たちのチームは他のチームと違い、ばね下にモーターがついているため、設計においてはこのことを考慮しなくてはいけません。また、製作においてもアルミや鉄、さらにはチタン合金などを、旋盤・フライス、時には金属3Dプリンタなどを活用して製作します。サスペンションを構成するパーツはミリ単位、時にはマイクロメートル単位の精度を要求されるものもあり、製作はまさに職人技といえます。
・モノコック班
FEMが採用するカーボンモノコックは国内でも5校しか採用していない、非常に難易度が高い技術です。設計においてはマシン性能に直結するボディ剛性はもちろん、各種パーツの配置や干渉などを考慮しながら設計しなくてはいけません。モノコックの製作は非常に多くのリソースが必要で、プリプレグの積層作業はチーム総出で行います。これほどの労力を払って製作されるモノコックは多くの大学の採用するパイプフレームと比較して軽量であり、これはマシンの高速化に直結します。
・駆動班
FEMは日本で唯一4輪インホイールモーターを採用するチームであることは先述しましたが、とはいっても直接タイヤにモーターがついているわけではありません。モーターの回転数は極めて高く、これをエコパのコースにおいて最適なタイヤの回転数とするため、トルクを変える減速機が必要です。これを担当するのが駆動班です。しかしながら、このパーツはタイヤ付近、すなわちばね下に装着されるパーツであるため、それ以外のパーツと比べて重量増がマシン性能にきわめて大きな影響を及ぼします。駆動班の設計においてはこれらを十分に考慮し、かつ大きな力のかかるパーツであるため安全性を担保した上で進める必要があります。
・エアロ班
車両性能、その中でも特に旋回性能に大きな影響を与えるのがウィング、フロアといった各種エアロパーツです。より軽いエアロパーツで大きなダウンフォースを生み出すため、これらのエアロパーツはCFRPなどの複合材から作られます。また、設計は流体解析を駆使して行います。エアロパーツは各大学によって搭載の有無が分かれるパーツですが、マシンの見た目やスポンサーロゴ掲載も大切な要素で、学Fの車両にとって大きな存在感を示すパーツとなっています。
・ステアリング班
どれだけスペックが高いマシンを作ったとしても、最後にその性能を引き出すのはドライバーです。ステアリングホイールはドライバーが直接操作できる数少ないパーツの一つであり、その周辺を担当するのがステアリング班です。設計においてはドライビングについてはもちろん、軽量化やEVにとって必須の各種スイッチ類のことも考えて進めなくてはいけません。またドライバーの命を守るため絶対的な信頼性が求められるパーツでもあります。
・ブレーキ班
ドライバーが直接操作できるもう一つのパーツ、それがスロットルとブレーキです。ブレーキ班はこれらのパーツを担当します。ブレーキはばね下に搭載されるパーツであるため、他のパーツ以上に重要増には気を使わなければいけません。しかしより早くコースを1周するために高い制動力を発揮すること、またいざというときに確実に止まれる信頼性が不可欠です。スロットルも操作のしやすさが、コーナーの立ち上がりなどタイムに響いてきます。ドライバーとマシンの両方を考え、それらをつなぐ役割を持つ難しいパーツです。
–パワートレイン部門–
・高電装班
EVにとって必須のバッテリー周り、およびモーターを回す高電圧を担当するのが高電装班です。600V近い高電圧を扱う高電装にはドライバーの命を守るために極めて高い安全性が必要です。またマシンの中でも特に重いパーツであるため、バッテリーの設計は重量のことを十分に考慮する必要があります。モーターを回すEVにとっての血液ともいえる高電圧はもちろん、安全性や重量など様々なことを考えながら設計・製作をしなくてはならないパーツです。
・低電装班
600Vの高電圧を扱うFEMのマシン、それらの安全のためレギュレーションによってさまざまなシステムの搭載が義務付けられています。これらを担当するのが低電装班です。これらのシステムは非常に数が多く、技術的に難しいものも存在します。多数のシステム、配線をどう効率よく繋げ、確実に動作するパーツを作るのか。低電装の設計および製作は非常にレベルが高いです。
・VCM班
FEMの搭載する4輪インホイールモーターの最大の利点は、4つのタイヤに伝える力を変化させることで、マシンの挙動を大きく変化させることができることです。この力の伝え方はプログラムによって制御され、この製作を担当するのがVCM班です。他のチームと一線を画すこのVCM班は、各種シミュレーションソフトをフルに活用して、マシンの性能をフルに発揮するプログラムを考え、実際にマシンを走らせながらこれらを改善していきます。
・冷却班
EVにおいてはインバーターやモーターなど大きな熱を発生するパーツが複数存在します。これらの冷却を担当するのが冷却班です。冷却の不足は特にエンデュランスにてタイムに大きな影響を与えます。実際、過去のFEMのマシンにおいてこの冷却不足に悩まされたことは多いです。より軽いパーツでどう効率よく冷やすか、マシン周りの空気の流れや、冷却水の流れなど、流体解析を活用しながら設計を行います。
・テレメトリ班
EVの大きな利点の1つ、それはリアルタイムでマシンに関する情報がデータという形で手に入ることです。これらの情報をドライバーに伝えるのがテレメトリ班の役割です。マシンにスマートフォンを搭載し、バッテリー残量やモーター、インバーターの温度などドライバーがその時に必要としている情報をどうわかりやすく、確実に伝えるか。数字だけで表すことのできないテレメトリの設計は、ドライバーとマシンをつなぐ数少ないパーツの1つです。
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