- 2023.11.22
歴代EVマシン紹介(名古屋大学 FEM)
この記事の目次
はじめに
私たち名古屋大学フォーミュラチームFEMは、学生フォーミュラ日本大会に参戦し、優勝するために名古屋大学の学生が主体となりフォーミュラカーを製作している学生団体です。2003年11月に有志を募って発足し,第2回大会から参戦しています。20期目となる今期は、大会史上初のEV車両による総合優勝を目指し、車両開発・製作に取り組んでいます。
EVシフトのきっかけ
2015年当時、欧州を中心とした世界レベルの学生フォーミュラの世界においては次々とEVシフトが起こり、最もレベルが高いドイツ大会においても、エンジン車両よりも好成績を収めていました。エンジン車両にて総合優勝を経験した我々は、さらなる技術の高みを目指すため、EVクラスへの転向を決断しました。
歴代EVマシン
SIST x FEM (2016)
【総合56位(動的種目不参加)】
この年にエンジン車両であるFEM-13プロジェクトと並行して、EVプロジェクトが立ち上がりました。日本大会におけるEV車両のパイオニアである、静岡理工科大学との合同EV参戦プロジェクトです。
結果として、車検は全て通過したものの、時間切れにより動的審査不参加となりましたが、設計・製作のプロセスを実際に参戦して学ぶことができ、2017年のEV参戦の礎となりました。
FEM-14 (2017)
【総合4位、EV1位】
FEM初のEV車両となったFEM-14は日産リーフのモーターを搭載し、魅力的な速さを発揮する車両「Attraction」をマシンコンセプトに、エンジン搭載車と同等の速さを発揮することを目標に開発されました。
初のEV車両に苦戦しつつも車両を完成させ、オートクロス及びエンデュランスにおいてはEVクラス1位となり,ICV中堅校とも速さで渡り合うことができました。
FEM-15 (2018)
【総合3位、EV1位】
FEM-14の基本パッケージを踏襲しながらも、レイアウトやフレーム配置の最適化を行い、28kgの軽量化に成功しました。また、トラクションコントロールの実装により、モーターならでは緻密なタイヤのスリップ制御を行い、アクセラレーションでは3位を獲得しました。スキッドパッド、オートクロスは天候に苦しめられる結果となりましたが、エンデュランス完走に成功し、EVクラスで連覇、総合3位という好成績を収めることができました。
FEM-16 (2019)
【総合3位、EV1位】
これまでのレイアウトは、EVとして一般的な1モーター後輪駆動でした。しかし、FEM-16では更なる加速・旋回性能の獲得のために、それぞれのタイヤに直接モーターを搭載する「4輪インホイールモーター」のレイアウトを導入したのです。
これを実現するために、チーム員がドイツを訪問しました。大会にボランティアスタッフとして参加するなどして、世界最高峰のEVチームの技術を学び、モーターやインバータの調査及び調達等を行いました。
車両制御ではアクセルペダル開度、ステアリング舵角、車速から各輪のトルク配分を調整し、ヨーモーメントを発生させ旋回性能を向上させる直接ヨーモーメントコントロール(トルクベクタリング)の制御を搭載することで、4輪インホイールモーターの性能を大きく引き出すことに成功しました。
大会では静的種目・動的種目共に好成績を収め、EVクラスで3連覇、総合3位を獲得しました。
FEM-17・18 (2020, 2021)
【総合8位、EV1位(静的審査のみによる成績)】
2020年は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました。ウイルス蔓延により、大学より部活動の全面停止が言い渡され、ついには2020年4月に自動車技術会より大会の中止が発表されました。これによって、チームの照準を2021年大会に合わせることとなったのです。
2020年大会の中止に伴い、FEM-18の開発期間が長期化しました。その期間を生かし、車体構造におけるパイプフレームからカーボンモノコックボディへの変更やアキュムレータ(バッテリ)の改良などによって、FEM-16比で-70kg(-23%)の車両重量の軽量化を達成しました。さらにはタイヤを10inchに小型化し、減速機を二段平行歯車減速機構から遊星歯車機構を採用することで、ばね下重量を軽量化するとともに信頼性の確保を図りました。
しかし、2021年大会は静的審査のみとなり、その車両性能を大会で発揮することは叶いませんでした。一方で、静的審査では4大会連続のデザインファイナル出場などの結果を収め、EVクラスで4連覇、総合8位を獲得しました。
FEM-19 (2022)
【総合29位、EV3位(動的種目不参加)】
FEM-18の基本パッケージを踏襲しつつ、カーボンモノコックボディ後方上面にあったインバータをモノコック内部に配置することで低重心化を達成しました。さらに、各パーツ順当に進化を遂げ、「EV×4輪インホイールモーター×カーボンモノコックボディ」という日本で唯一のマシンとして洗練されました。しかし、大会では電装系のトラブルが相次ぎ、時間内に車検を突破できず動的審査に進むことができませんでした。
静的審査では5大会連続のデザインファイナル出場をはじめ、コストとプレゼンでも好成績を収めたものの、電装系のトラブルが相次ぎ、時間内に車検を突破できず動的審査に進むことができませんでした。
―2023年度大会に向けて-
FEM-20では、これまで培ってきた優れた車両性能を遺憾なく発揮できる信頼性を備え持つ車両開発を行い、大会史上初のEV車両による総合優勝を目指してまいります。
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