- 2023.11.06
京都繊維工業大学 学生フォーミュラ マシンコンセプト
弊チームではマシンを設計する前に、目指すべき理想像を考える概念設計を行います。
今回は私たちのチーム目標、マシンコンセプトを紹介したいと思います。
私たちは学生フォーミュラ日本大会史上初の「総合4連覇」をチームの最終目標としました。しかし従来の単気筒エンジンではそれ以上の出力向上が難しく、更なる開発に伴う車両の信頼性への懸念から2020年度にはチーム内初となる2気筒エンジンへの載せ替えに挑戦しました。そこで、優勝奪還を達成し得る車両パッケージングの実現3年間かけて段階的に行うために新エンジンを最大限生かす開発を複数年度に渡って行う「3カ年計画」に着手しました。
2022年度は「3カ年計画」二年目としてドライサンプシステムを実車に初搭載して大会に臨みました。また、「出力と旋回性能の両立」というマシンコンセプトのもとに開発を行いました。3年ぶりの現地開催の大会で静的審査・動的審査ともに高得点を獲得することができ、総合優勝を獲得しました。
2023年度のマシンコンセプト考案にあたり、従来の3ヵ年計画の達成度について検討を重ねた結果、最終の順位目標であった優勝は達成することができましたが、最終年度の開発目標の中で達成されていない項目が残されているため、昨年度までの3ヵ年計画を再考し4連覇に向けて新たなロードマップである4連覇計画を打ち出します。
新たなロードマップである4連覇計画における最終目標は、引き続き「日本の頂点に立ち継続的に勝ち続けることこそが強豪校としての工繊大の在り方である」という考えのもとに変わらず「史上初の4連覇」とします。しかし、コロナ禍やEVの成長といった新たな情勢変化に対応しつつ勝ち続けるためには改めて長期的な情勢予測が必要であると考えました。そこで、過去の国内外の大会結果を分析し、各年度で優勝するために必要な審査別の目標得点を決定しました。
日本大会の優勝校の点数より、総合優勝するために必要な目標得点を「850点」としました。
アクセラレーションではEVが出力曲線において有利であり、スキッドパッドでも四輪のトルクベクタリングの制御が可能なEVが有利であると分析しました。しかし、エンデュランス・オートクロスについては排熱などの耐久性に関する問題を抱えやすいEVに対してICVが有利であると考えました。また、実際の過去の海外大会の結果から、今後3年間の日本大会ではEVのタイム向上に関わらず、アクセラレーションとスキッドパッドにおいてICVで1位を獲得する車両性能を有していれば総合優勝を獲得できると判断しました。したがって、最終目標としてオートクロス・エンデュランスで1位、スキッドパッド・アクセラレーションでICV1位を目指します。
種目 | 目標得点/満点 |
デザイン審査 | 120/150 |
コスト審査 | 68/100 |
プレゼンテーション審査 | 75/75 |
アクセラレーション | 85/100 |
スキッドパッド | 62/75 |
オートクロス | 125/125 |
エンデュランス | 275/275 |
燃費 | 40/100 |
合計 | 850/1000 |
2022年度大会の弊チームのタイムをコロナ禍以前の大会結果と比較すると、2019,2018年度大会では動的審査の順位が3位となりました。したがって、結果としては総合優勝を達成しましたが、今後の情勢でも変わらず動的審査1位、ひいては総合優勝を勝ち取るためには現在の車両状態では運動性能が不足していると判断したため、2023年度では総合的な運動性能の向上を目指します。2023年度の情勢については、コロナ禍前の水準に回復すると予想し、目標タイムは2013~2019年のトップタイムの平均に基づいて設定しました。
そして、最終目標であるエンデュランス・オートクロス満点による総合優勝を達成するべく、現状における走行の様子や他校との比較を重ねたところ、特にオートクロスの低速コーナーにおいてタイムの伸び代が見られました。
昨年度についてもオートクロスにおける定常旋回の性能に注力して開発を進めて参りま したが、今年度は低速コーナーにおける定常部だけでなく、コーナーの進入・脱出にも着目 してタイム向上を目指して参ります。
車両開発における評価については主に試験走行期にコースを実際に走行し、目標セクションタイムの達成度によって評価します。そして、旋回性能向上にむけて軽量化と操作性の向上の二つを主軸に開発を進めて参ります。軽量化についてはカーボンアームの導入な
どの材料置換により達成を目指します。また、操作性の向上についてはトルクの谷の解消によるコーナー脱出時の回転数域のトルク曲線の見直しや点火カット導入によるシフト操作の簡略化などに取り組みます。
また、今年度大会で残った課題として走行時の水温や油温が高く、エンデュランス走行時に大きな障壁となってしまったので冷却性能やエアロの設計をさらに見直すことでパワートレイン系の信頼性を向上させる必要があると考えています。そこで、試験走行を徹底
的に行い、冷却やエアロの実測を数多く行うことで実測データとシミュレーション結果を比較し、より精度の高い設計を行います。
また、動的審査前に行われる車検について危うくも通過することができましたが大きな課題が残されました。車検を通過することは大会出場のための前提条件であり、これを突破することができないと現地で走行するは叶いません。今後も常勝するためには車検を確
実に通過できる車両であることは必須であり弊チームにとっても課題の一つであると認識しているため、レギュレーションの把握を徹底し、来年度大会では最速での車検突破を目指します。
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